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効率的な道路メンテナンスの実現に向けて

わが国の社会インフラである道路構造物が一斉に老朽化を迎えており、適切なメンテナンスが喫緊の課題となっています。国土交通省は、「点検→診断→措置→記録」の4つの業務を1サイクルとして、計画的かつ継続的な維持管理を推奨しています。

具体的には、2014年に道路法の改正が行われ、橋梁やトンネルなどの道路構造物について、5年に1回の近接目視による点検が義務付けられました。点検では、構造物の健全性を「Ⅰ健全」「Ⅱ予防保全段階」「Ⅲ早期措置段階」「Ⅳ緊急措置段階」の4段階に診断し、その結果に応じて適切な措置を講じることが求められています。

このメンテナンスサイクルを確実に実施することで、老朽化したインフラの長寿命化と安全性の確保を図ることができます。しかし一方で、点検や診断、修繕措置には多大な費用と人的資源が必要となり、道路管理者にとって大きな負担となっています。

道路インフラの長寿命化に向けた取り組み

こうした課題に対処するため、国土交通省では様々な取り組みを進めてきました。まず、2014年に「道路の老朽化対策の本格実施に関する提言」がなされ、関係機関が連携して対策を推進する体制づくりが求められました。これを受けて、全国に「道路メンテナンス会議」が設置されました。

この会議には、国土交通省の地方整備局、都道府県・市町村、高速道路会社、道路公社などが参加し、点検や修繕の状況を共有しながら、発注支援や技術的な相談対応などを行っています。自治体間の連携を深め、メンテナンス業務の効率化を図ることが目的です。

さらに、2019年からは「道路メンテナンスセンター」の設置が始まりました。このセンターでは、直轄国道の健全性診断や修繕計画の策定支援、自治体への修繕代行、職員向けの研修など、高度な技術支援を行っています。専門的な知見を活かし、地方公共団体のメンテナンス業務を下支えする役割を担っています。

また、新技術の導入による効率化も重要な課題とされています。赤外線調査によるスクリーニングでは、コンクリートの剥離箇所を効率的に特定できます。さらに、ドローンで撮影した大量の点検画像をAIが自動判別する手法の導入も検討されており、コスト削減と精度向上を両立することが期待されています。

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